心筋梗塞、原爆症と認定 札幌地裁「被爆で発症、進行」
国に心筋梗塞での原爆症認定申請を却下された北海道斜里町の浜田元治さん(68)が、却下処分取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は22日、心筋梗塞を原爆症と認めた。賠償請求は退けた。
国が2008年4月に基準を緩和し、積極的に認定する病気の一つとした放射線による心筋梗塞と認められるかが争点となった。
古久保正人裁判長は判決理由で「国側の主張する喫煙だけが原因になったという確かな証拠はなく、被爆が心筋梗塞を発症、進行させたと考えるのが合理的」と述べた。
判決によると、浜田さんは2歳で長崎市の爆心地から約2キロの地点で被爆した。50代で腎細胞がんと心筋梗塞を発症し、03~04年に原爆症認定を申請したが、いずれも却下。その後、新基準でがんだけが認定された。
国側は09年に集団訴訟の原告と交わした確認書に基づき控訴せず、判決は確定する見通し。
判決後に記者会見した浜田さんは「心筋梗塞で認定を待つ人が全国にいると聞き、がんでの認定後も裁判をやめてはいけないと思った。一人でも多く認められてほしい」と話した。〔共同〕