新日鉄・住金、12年度メドに経営統合へ
16時半に社長会見 粗鋼生産能力、世界2位グループに
鉄鋼最大手の新日本製鉄と3位の住友金属工業は3日、2012年度をめどに経営統合をする方針を固めた。16時半から両社社長が記者会見して発表する。実現すれば粗鋼生産能力で世界2位グループに浮上、最大手アルセロール・ミタルの追撃態勢が整う。自動車や電機など主要顧客が海外進出を加速し、経済発展が続く新興国で鉄鋼需要が急増するなど今後の成長には外需の取り込みが不可欠。統合で国内基盤を強化しつつ海外市場を共同開拓し、世界的な勝ち残りを目指す。
新日鉄の宗岡正二社長と住金の友野宏社長が、経営統合に向けた交渉を始めることで合意した。統合は公正取引委員会が認めることが前提になる。鉄鋼業界の大型再編は2002年に川崎製鉄とNKKが統合しJFEホールディングスが発足して以来約9年ぶり。
09年の両社の粗鋼生産量を合わせると約3800万トンで世界第4位に浮上する。09年は需要急減で新日鉄も住金も大規模な減産を実施、中国勢が国策で合従連衡を進めたこともあり新日鉄は08年の2位から6位まで順位を落としていた。生産能力を合算すると約5000万トン規模となり、中国勢を抑え世界2位になる可能性がある。
鉄鋼業は巨大な製鉄所を抱える装置産業で、規模が大きいほどコスト面で優位に立ちやすい。また鉄鉱石と石炭の高騰で今期の鉄鋼業界の原料コストは増えるが、統合で生産量が増えれば原料の仕入れや、鋼材の販売価格交渉で発言力が増す利点もある。
鉄鋼業界の置かれた環境変化も統合をせかす。製鉄所は国内にしかないが自動車など顧客は円高を嫌い海外進出を加速する。鋼材需要も建設不況の国内は縮むばかりで、伸びるのは中国や東南アジアといった新興国だ。
新日鉄と住金は輸出で対応しているが、円高による価格競争力低下や顧客の現地調達要望を受けて海外製鉄所の建設が急務だ。ただ製鉄所建設には4000億~5000億円もの巨額資金が必要。仮に両社で共同建設すれば負担も和らぐ。
両社が統合すれば国内の粗鋼生産シェアは約43%(09年ベース)、主力の熱延鋼板シェア(同)では約半分を占める。ただ中国勢を始めとする新興国勢の急成長で、粗鋼を世界シェアで見ると2社合わせてもわずか3%。今後は公正取引委員会の判断も焦点となる。
両社はここ数年間で株式持ち合いやステンレス、建材薄板事業の統合など関係を強化してきた。今では新日鉄が住金株の9.4%、住金は新日鉄株の4.2%を保有するともに第2位の大株主となっている。