音楽配信が初の減収 10年、携帯ゲームと競合激化
スマートフォン対応も遅れる
CDに代わって成長してきた音楽配信サービスが苦戦している。日本レコード協会が25日発表した2010年の音楽配信売上実績は、09年比5%減の859億9000万円と初めて前年を割り込んだ。全体の8割以上を占める携帯電話向けが、携帯向けゲームなどとの競合が激化したことや、高機能携帯電話(スマートフォン)向けへの対応が遅れたことが背景にある。
内訳は旧来の携帯電話向けサービスが6%減の747億4500万円、スマートフォンを含むパソコン向けは1%減の101億2300万円だった。
09年から音楽配信が伸び悩むようになった原因の一つは携帯電話向けゲームとの競合だ。ソーシャルゲームと呼ばれるこれらのサービスは通常無料だが、ゲームで使うアイテムによっては有料のものもあり、若者がそちらに流れた。
もう一つの理由が携帯電話市場のスマートフォンへの流れへの対応の遅れだ。当初はスマートフォン向けのサービスが限られていた。また、従来型の携帯電話では実際の利用量に関係なく、一定額を毎月課金する料金制度が中心だった。スマートフォンでは1曲ごとの買い切りが一般的で、結果として収入減につながった。
各社はここにきてスマートフォンを対象にしたサービスを拡大。携帯電話向け配信サービス大手のレコチョク(東京・渋谷)は従来のNTTドコモやKDDI(au)に加え、23日からソフトバンクの一部製品を対象に楽曲の提供を始めた。
ヤマハミュージックメディア(同・豊島)は昨秋、インターネット接続で好きな楽曲データを自由に楽しめるストリーミング(逐次再生)方式を開始。「スマートフォンの普及で11年の市場は10年比5~9%の成長に転じる」(いちよし経済研究所の大河原翔研究員)との見方もある。
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