宮崎市伝統のカモ猟、初の自粛 鳥インフル感染確認続き
宮崎県で高病原性鳥インフルエンザの感染確認が相次いだことを受け、宮崎市で400年以上続いてきたカモの伝統猟「巨田池(こたいけ)の鴨網猟」が自粛に追い込まれている。猟を実施している「佐土原鴨越保存会」によると、猟の自粛は初めて。2月は猟の最盛期で、猟師たちは「感染拡大を避けるため断腸の思いで決めた」と話している。
巨田池の鴨網猟は、猛禽(もうきん)類を避けて低空を飛ぶカモの習性を利用、三角に組んだ竹に網を張った「越網」を投げて捕まえる伝統猟。約450年前から続くとされ、県無形民俗文化財に指定されている。
宮崎市では、1月22日に佐土原町の養鶏農場で、今冬県内初の高病原性鳥インフルエンザの感染が確認され、保存会は翌23日から猟を自粛。環境省が、マガモなどのカモ科について、鳥インフルエンザの感染リスクが高い33種に含めていることなども考慮したという。
佐土原町を流れる一ツ瀬川は、県内有数のカモの飛来地。保存会の中武四郎会長(75)は「終息を願っているが、こればかりはどうしようもない」とため息をつく。
鳥インフルエンザの感染が拡大する原因として、渡り鳥がウイルスの運び役とする説も取りざたされている。全国の猟友会が参加する大日本猟友会は死んだ野鳥を素手で触らないことなどを呼び掛けているが、担当者は「渡り鳥が原因なら来冬以降もどうなるのか心配だ」と話している。〔共同〕