エジプト衝突、死者3人 さらに発砲で4人死亡の情報
大統領支持者と反体制派の対立激しく
【カイロ=松尾博文】エジプトのカイロ中心部で2日発生したムバラク大統領支持者と反体制派の衝突で、エジプト保健省は3人が死亡、600人超が負傷したと発表した。その後、大統領派が3日未明に発砲し反体制派4人が死亡したとの報道もある。ムバラク大統領の即時退陣を求める抗議デモは国民同士の衝突に発展、エジプト情勢は混迷を深めている。
スレイマン副大統領は2日夜、反体制派との対話を早急に開始する必要性を訴え、そのためにデモ終結を求めた。一方、反体制派側は衝突に政権が関与していると批判。反体制派指導者の一人であるエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長は2日、「警察が関与している証拠がある」と述べた。
衝突は2日午後、反体制派が抗議デモのために集まっていた中心部のタハリール広場に、馬やラクダに乗った大統領支持者がなだれ込む形で始まった。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは反体制派を広場から追い出すことが目的と伝えた。
殴り合いや投石が起こり、日没後も夜間外出禁止令を無視して続いた。何者かが火炎瓶数発を投げつけ、一部は広場に面するエジプト考古学博物館の敷地内で炎上した。威嚇発砲の銃声も響いた。
何者かが広場周辺のビルから火のついた布を群衆に投げつけ、自動車を燃やすなど深夜まで不安定な状態が続いた。ロイター通信は病院関係者の話として1500人以上が負傷したと報じた。
タハリール広場には1月25日の抗議デモ開始以降、反体制派が連日結集。広場には軍部隊が展開しているがデモには介入することはなく、これまで比較的平穏にデモが続いてきた。今回の衝突でエジプト情勢は新たな局面に入った。