前原外相「日韓安保同盟を」 韓国紙に
北朝鮮の脅威念頭
【ソウル=山口真典】韓国紙の毎日経済新聞は3日付(早版)で、前原誠司外相が同紙とのインタビューで、北朝鮮の武力挑発などに備えて「韓国と安全保障分野でも同盟関係を結ぶことを希望する」と述べたと報じた。外相は「隣国との堅固な安保体制構築は日本外交の最大の懸案だ」と強調、近く韓国を訪問し金星煥(キム・ソンファン)外交通商相と安保協力に関して議論する意向を表明したという。
昨年12月には米軍のマレン統合参謀本部議長も北朝鮮の脅威を念頭に日本の安保協力強化を求めており、外相の発言は米国の意向も踏まえたものとみられる。自衛隊の海外展開には集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈との整合性など難問が多く議論を呼びそうだ。
同紙によると外相は北朝鮮の武力挑発を「朝鮮半島だけでなく東アジア全体の安定と平和を脅かす行為」と非難し韓国との安保協力の必要性を強調。同紙は「韓日の安保同盟が締結されれば、韓国軍と自衛隊の合同軍事訓練や朝鮮半島有事における自衛隊派兵など、両国の包括的な協力が可能になる」と解説した。
ただ、韓国内では日本の軍事力増強に拒否感が根強い。菅直人首相が朝鮮半島有事における自衛隊出動を念頭に置いた発言をした時も金星煥外交通商相が「日本とは初歩的な安保協力を始めた段階だ」と協力拡大に慎重な姿勢を強調している。前原外相は「日本は歴史問題に反省することは確実に反省しなければならない」と表明。「両国は安保協力を拡大するため、努力と対話を続けるべきだ」と力説した。