20年度に消費税9%分赤字 中長期財政試算
内閣府は21日の予算編成に関する閣僚委員会で、中長期(2020年代前半まで)の経済財政試算を示した。消費税の引き上げを含む税制改革をしなかった場合、国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の赤字は20年度、23.2兆円に上る。政府が目標とする同年度の黒字化を達成するには、消費税換算で約9%に相当する収支の改善が必要で、税と社会保障の一体改革の議論にも影響を与えそうだ。
与謝野馨経済財政相は閣議後の記者会見で、「目標達成には歳出と歳入の両方を改革しないといけない」と述べた。
国・地方を合わせた債務(国債や地方債など)残高は10年度の833兆円から、20年度には名目国内総生産(GDP)比222%にあたる1238兆円に達する見通しだ。
PBは毎年度の政策に必要な経費を借金に頼らずに賄えているかを示す指標。内閣府は実質成長率が1%前半で推移する「慎重シナリオ」をメーンの試算に設定。高齢化に伴う社会保障費の増加を折り込み、他の政策経費は横ばいと仮定した。 20年度の赤字幅は、社会保障費の伸び以上に経済成長に伴う税収増を見込み、10年度(30.9兆円の赤字)より改善する。それでも目標達成にはほど遠く、消費税を社会保障費のみに充てた場合は厳しい歳出削減が必要になる。
新成長戦略で掲げる名目成長率3%で推移したと仮定しても、20年度のPBは国・地方で16.2兆円(消費税換算で6%超)の赤字となる。