「父に見てほしかった」不明町職員の娘が卒業式 岩手・大槌
津波で町長をはじめ多数の町職員が死亡・行方不明の岩手県大槌町で29日、町立大槌小学校の卒業式が開かれた。使えない校舎の代わりに避難所となっている近くの体育館を使用。卒業生55人の中には町職員の父が見つからない六串奈穂ちゃん(12)の姿もあった。
「お父さんに見てほしかった」。同日午後1時から始まった卒業式。会場には、これまで運動会やクラブ活動の試合などには欠かさず来てくれた父の俊範さん(46)の姿はなかった。
俊範さんは大槌町産業振興課の職員。津波が町を襲う直前、パトロールカーで町役場に向かう姿が目撃されたのを最後に行方が分からない。
残業で帰りは遅かったが、クラブ活動のバスケットボールの試合では監督より大きな声で奈穂ちゃんに指示を出した。「お父さん帰ってきて」。卒業証書を手に奈穂ちゃんは言葉を詰まらせた。