名古屋市議会、リコール不成立へ 署名1.2万人不足
名古屋市の河村たかし市長が目指すリコール(議会の解散請求)を巡り、同市選挙管理委員会は24日、市長の支援団体が集めた署名(46万5602人分)のうち、有効数は35万3791人分だったと発表した。リコールの本請求に必要な法定数(36万5795人分)を1万2004人分下回った。無効率は24%(約11万1800人分)。
市選管によると無効となったのは(1)署名者が選挙人名簿に登録されていない(約4万3千人分)(2)代筆や署名集めをする「受任者」以外の人物によるなど収集方法に瑕疵(かし)がある(約2万3千人分)――など。
支援団体は審査結果に強く反発、署名者らに異議申し立てを促す方針。申し立てに対する再審査で、無効とされた署名の一部が有効に転ずる可能性はあるが、法定数に届くのは厳しく、議会解散の是非を問う住民投票は行われない見通しだ。
今回のリコールは、市長が実現を目指す市民税10%減税の恒久化や市議報酬半減化などの政策に議会側が反発したことを受けたもの。市長の支援団体は8月末からの1カ月間の活動で46万5千人分を集めた。
市選管は地方自治法に基づき、10月24日までの20日間で審査を終了する予定だったが、約11万4千人の署名について、収集方法に疑問があると判断、審査期間を1カ月延長していた。
各区選管は25日から12月1日まで、署名の審査結果を閲覧できる「縦覧」を実施。署名者のほか、リコールの「請求代表者」や署名を集めた「受任者」らからの異議申し立てを受け付ける。申し立てがあった場合、再審査は最長で2週間かかり、有効署名数が確定するのは12月中旬になる。
河村市長は24日夕、11万人分以上の署名を無効とした審査結果に「悔しい。恐るべき民主主義の危機だ」と怒りをあらわにした。