都知事選、車使わず音量控えめ 震災配慮で自粛ムード
4月10日投開票の東京都知事選で、各候補者は東日本大震災と、その影響に配慮して「自粛」ムードの選挙戦を展開している。電気やガソリンの使用を抑え、マイクのボリュームも控えめ。自主規制の広がりに有権者からは賛否両論の声が上がる。
「歩いて一人ひとりと向き合う」。前ワタミ会長、渡辺美樹候補(51)は25日、名前を書いたたすきをかけて東京・銀座の街を練り歩き、有権者と握手したり、写真撮影に応じたりした。渡辺候補は「ガソリン不足のなか、車から名前を連呼する方法はとらない」と話す。
前宮崎県知事、東国原英夫候補(53)は自転車やランニングで都内を回る戦術をとる。選対幹部は「ガソリン節約のほか、『現場で動ける知事』という姿をアピールできる」と狙いを説明。宣伝カーは急きょ液化石油ガス(LPG)で走る車を手配した。
現職、石原慎太郎候補(78)の陣営はビルの1、2階に事務所を借りたが、スタッフをなるべく1階に集め、2階の照明やエアコンを切る。支援者の集まりも節電や交通機関の乱れを考慮し当面控える。「活動範囲は狭まるが、今の社会状況では仕方ない」(選対幹部)
前参院議員、小池晃候補(50)=共産推薦=は街頭演説でマイクの音量を絞り、近場は地下鉄などで移動。選対幹部は「効率は悪いが、1カ所ごとに丁寧に訴える」。ただ「次の都政4年を決める選挙。自粛しすぎるのは逆に不誠実」とし、宣伝カーは活用する。
発明家、ドクター・中松候補(82)は「燃費の良い宣伝カーを使っている」としている。
有権者の受け止めは一様でない。世田谷区の会社社長(48)は「都民が節電するなか、候補者も自らの姿勢を示すためにある程度の自粛をするのは当然」。一方で港区の無職女性(77)は「私自身は節電しているが、大事な選挙なので目いっぱい訴えてほしい」と話している。
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