三菱重工、太陽電池生産を台湾に移管 特損170億円
三菱重工業は30日、太陽電池の生産を台湾に移管すると発表した。台湾の太陽電池メーカー、宇通光能(オーリア)と業務・資本提携し、長崎県諫早市にある6つの生産ラインのうち、5ラインを台湾に移管する。三菱重工は生産ラインの減損損失170億円を2011年3月期決算に特別損失として計上する。
三菱重工は年産6万5000キロワットの生産ラインを現物出資。引き換えにオーリアの株式を取得する。出資比率はこれから詰めるが、3割以下にとどまる見通しだ。三菱重工はオーリアから技術ライセンス料と配当を受け取る。
長崎造船所諫早工場には1ライン(同1万3000キロワット)だけを残し、国内市場向けの製品供給と、技術開発のための実証ラインとして活用する。
オーリアは三菱重工の生産設備を活用し、台南市に第2工場を建設。工場が稼働する来年6月に生産能力を現在の年6万キロワットから12万5000キロワットに拡大する。
三菱重工の太陽電池は高価なシリコンの使用量が少ない「薄膜型」。02年から太陽電池の生産を始め、順次生産規模を拡大してきた。だが、08年のリーマン・ショック以降、米国や中国、台湾メーカーの台頭により太陽電池の市場価格が急落。円高による価格競争力の低下も追い打ちをかけて収益が悪化。抜本的な体制見直しが課題だった。
オーリアは07年設立の薄膜型電池の台湾専業大手。日本の技術力と台湾の低コスト生産能力を組み合わせ、これまでの主要市場だった欧州に加え、インドや東南アジアなどの新興国の需要開拓を目指す。
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