茨城納豆の出荷ピンチ 容器工場被災、品薄続く
全国有数の生産量を誇る茨城県の納豆メーカーが危機に直面している。震災でストップしていた工場は徐々に稼働し、25日から本格的に生産を再開したメーカーもあるが、容器不足もあって品薄が続く。計画停電の状況次第では、より厳しくなるとの予想も出ている。
全国納豆協同組合連合会(東京)によると、現在関東のスーパーの店頭に茨城県産の納豆はほとんどない。震災後、電力供給が不安定だったことや、容器やフィルムを作るメーカーも被災したことで出荷が困難だった。
大手メーカー「タカノフーズ」(茨城県小美玉市)によると、納豆を販売するまでには3日半~4日かかり、温度と湿度の管理が18~20時間必要な発酵や、冷蔵庫での熟成などの工程には電気が欠かせない。
同社は25日、一部で出荷を開始したが、広報担当の寺岡義政さん(39)は「茨城が計画停電から除外されている間はいいが、1日3時間も停電したら品質が落ちて処分するしかない。死活問題です」と不安を漏らす。
「天狗納豆総本家」の「笹沼五郎商店」(水戸市)は、偕楽園などへの観光客が減り、土産用の販売で打撃を受けた。容器不足は深刻で、代表取締役の笹沼隆史さん(68)は「安定した供給を回復させるため、早く状況を改善してもらいたい」と話している。〔共同〕