韓国「20日中に射撃訓練」 延坪島住民らに退避令
【ソウル=山口真典】韓国国防省関係者は20日午前、黄海の延坪島(ヨンピョンド)から北朝鮮側と逆の南西方向に向けた海上射撃訓練を同日午後1時(日本時間同)以降に実施すると表明した。軍は同島住民らに緊急退避令を発令、周辺海域に発生している霧の状況を見ながら開始時間を決める。
北朝鮮は朝鮮戦争後に国連軍が設定した北方限界線(NLL)を認めておらず、訓練が「我が領海への射撃」だと主張し、韓国領砲撃も示唆している。訓練開始後に緊張が一層高まるのは避けられない情勢にある。
今回の射撃訓練は、11月23日に北朝鮮からの砲撃を受けた時に実施中だった訓練の再開という位置付けになる。18~21日のいずれかに実施するとしていたが、19日までは「気象条件が整わない」との理由で開始を見合わせていた。国防省関係者は訓練の内容について「前回訓練で計画した分量の残りを発射し、2時間以内で終える」と説明している。
韓国軍は「以前から領海で定期的に実施してきた正当なもの」(合同参謀本部)と強調、射撃も延坪島から北朝鮮と逆方向を狙う。ただ、北朝鮮の追加挑発があれば「陸海空軍の合同戦力で即時断固とした対応をとる」(同)方針。20日午前はF15KやKF16などの戦闘機が随時出撃できる態勢をとり、駆逐艦や哨戒艦も周辺海域に配備。北朝鮮の攻撃にはK9自走砲や多連装ロケット(MLRS)などでも応射する構えだ。
訓練には在韓米軍約20人が参加して後方支援などに当たり、国連軍代表も現場で状況を見守る。島内に滞留する住民や報道陣ら約280人は防空壕(ごう)などに避難した。韓国統一省は挑発措置に備え、開城(ケソン)工業団地(北朝鮮南西部)に韓国人関係者が入ることを一時的に禁じた。