ノーベル賞のユヌス氏、グラミン銀総裁職から「解任」
バングラデシュ中銀が通告、銀行側は抵抗
バングラデシュの中央銀行は2日、貧困層に少額の起業資金を融資するマイクロファイナンスの先駆者で、2006年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁を総裁職から解任したと表明した。グラミン銀は同日に「ユヌス氏は合法的に総裁に任命されており、職務を続ける」との声明を発表し、争う構えだ。
政府はグラミン銀の有力株主。ロイター通信などによると、中銀はグラミン銀に「70歳のユヌス氏は60歳定年制に抵触している」などと理由をつけ、書面で解任を通告した。
解任騒動の背景にはバングラデシュのハシナ首相との対立があるとみられる。ユヌス氏は同国の二大政党制に批判的で、07年に独自の政党旗揚げを試みて、ハシナ首相の逆鱗(げきりん)に触れたとされている。首相は昨年12月、ユヌス氏を「貧困層にカネを貸して潤う吸血鬼」と糾弾。ユヌス氏の退任を求める発言が閣僚から相次いでいた。
(ニューデリー=長沢倫一郎)