G7が10年半ぶり協調介入 日銀、即座に円売り実施
日米欧の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は18日朝に開いた電話会議で、外国為替市場への協調介入を実施し、円高を阻止することで合意した。東日本巨大地震や原子力発電所事故の影響を受けた急激な円相場の変動に対応する。政府・日銀は合意を受け、同日午前9時から即座に円売り・ドル買い介入に踏み切った。各国がそれぞれの市場で介入を断続的に実施する。東京外国為替市場では介入実施後に円相場が1ドル=81円台半ばまで大幅に下落した。
協調介入は日本が要請した。G7による協調介入は2000年9月にユーロ安を阻止する目的で実施して以来、約10年半ぶりとなる。日米欧の通貨当局が連携してそれぞれの市場で円・ドル相場を対象に独自に実施する。米欧は00年以降、市場介入をやめていたが為替政策の方針を大きく転換する。日本の為替介入は昨年9月に単独で実施して以来、約半年ぶり。
G7は電話会議後に緊急声明を公表。「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に悪影響を与える」と協調介入に踏み切った理由を説明。米国、欧州中央銀行(ECB)、英国、カナダが「日本とともに為替市場における協調介入に参加する」と明記した。
電話会議は主要8カ国(G8)首脳会議の議長国を務めるフランスの呼び掛けで開催。日本時間の午前7時すぎから約2時間にわたって開かれた。日本から野田佳彦財務相と白川方明日銀総裁が参加。財務相と日銀総裁は会議終了後、記者会見し、協調介入の合意を受けて、政府・日銀が東京市場で午前9時から介入を開始したことを表明した。
外国為替市場では日本の巨大地震や原発事故を受けて、投機的な円買い・ドル売りが加速。円は日本時間17日早朝に海外市場で一時、1ドル=76円25銭と対ドルでの過去最高値をつけるなど、為替相場の不安定さが増していた。G7は協調介入に踏み切ることで、投機的な売買を封じ、円高を阻止。日本の復旧・復興を側面支援するとともに、国際的な経済・金融の不安定化への波及を防ぐ狙いだ。
為替市場を巡っては、米欧と新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央総裁会議が昨年秋以降、共同声明で、日米欧の先進国が為替相場の「過度の変動を監視」すると明記。今回の協調介入はこの合意に沿ったものだ。
米国は00年9月の日米欧協調介入を最後に市場介入を停止。欧州も00年11月を最後に市場介入をやめていた。日本を襲った未曽有の災害への対応という「危機対応」ではあるものの、今回の協調介入で、これまでの為替政策のスタンスが大きく変わることとなる。