宮城・南三陸町、1100人の集団避難開始 県内4市町へ
宮城県南三陸町で3日、避難所で暮らしている住民のうち約1100人の集団避難が始まった。この日は約500人が各避難所から送迎用のバスやマイカーで同町のベイサイドアリーナに集まり、正午すぎから順次、宮城県の登米、栗原、大崎3市と加美町の福祉センターや温泉旅館、小学校などに向かった。
佐藤仁町長は出発直前のバスの住民に「皆さんを一日も早く必ず迎えに行きます」とあいさつして回った。
300人以上が生活する南三陸町立志津川中学校には午前9時50分すぎにバスが到着。親子連れやお年寄りら十数人が、見送る住民と「がんばってね」「元気でね」と声を掛け合いながら乗り込んだ。
夫婦で栗原市に移る無職大内幸市郎さん(75)は「水も電気もない生活は限界。いつか必ず戻ってきて町を再建したい」。妻ふく子さん(77)は「心の準備ができなかった。(移転先は)知らない土地なので不安だらけ」とこぼした。
避難所の住民約9400人のうち約1400人が集団避難を希望。町は先月31日、高齢者や集落単位での移動を優先し、1120人に避難先を提示した。うち約20人は移動先の希望がかなわずに辞退した。
町が確保した計約3400人分の避難先のうち、隣接する登米市に希望が集中した。町は近く2回目の意向調査を行う。〔共同〕