北極海の高気圧、日本に豪雪呼ぶ 海洋機構が解明
寒波早期予測に道
日本列島を襲う寒波は北極海の一部、バレンツ海とカラ海の周辺に張り出す高気圧が引き金となっていることを、海洋研究開発機構の研究グループが突き止めた。高気圧の影響で寒気が西シベリアに蓄積し、7~10日後に日本列島に到達。昨年末の鳥取県、今年1月末の福井県での豪雪もこうした寒波がもたらしたという。寒波襲来を早期に予測するのに役立つ成果といえそうだ。
上空の気圧や温度の分布を示す高層天気図や、北極周辺の数カ所で実施している大気上層の気球観測データを使い、2009年度の冬季に日本を襲った10の寒波を分析した。このうち5つの寒波は、バレンツ海からカラ海の上空に張り出した高気圧に起因していた。
いずれも寒波が日本に到達する7~10日前に、この高気圧の東側を南下する寒気が西シベリアに蓄積。その後、蛇行する大気の流れに乗って徐々に東方に移動し日本付近に到達していた。年末年始や1月末の豪雪を招いた寒波も同様の仕組みと判明した。
海洋機構の堀正岳研究員は「日本を襲う寒波の発生メカニズムがこれだけ一致しているので、バレンツ海、カラ海上空の高気圧に由来すると結論づけられる」と説明。北極海の気圧と西シベリアの寒気の程度を数値化し、変化を捉えれば日本への寒波襲来を7~10日前に予測できる可能性があるという。
日本の今冬の寒さは北極への寒気の蓄積と、その放出を繰り返す「北極振動」の影響が大きいとされる。海洋機構によると北極振動は1カ月単位の気象変化に関係するが、より短期の変化や個々の寒波の動きまでは説明しきれていなかった。
研究内容は10日付の日本気象学会の英文電子版学術誌「SOLA」に掲載される。