力士ら13人、八百長か 携帯に勝ち星売買「形跡」メール
大相撲の野球賭博事件の捜査で警視庁が押収した力士らの携帯電話を解析したところ、現役力士ら13人が現金で勝ち星を売買する八百長を行っていたことを疑わせるメールが発見されたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は既に警察庁に報告、警察庁は同日、日本相撲協会を所管する文部科学省にメールのやり取りを示す資料を渡した。
高木義明文科相は2日、相撲協会に事実関係を調査するよう指示、同省は相撲協会に資料を提供した。
文科省などによると、警視庁が解析したメールには13人の力士が八百長に関与していたことを疑わせるやり取りがあった。13人のうち4人は今年の初場所の番付で幕内の力士。引退した元小結も含まれていた。「今日は真っすぐぶつかっていく」などという取組の打ち合わせと疑われる文言や、勝ち星の売買代金をうかがわせる数字のやり取りも含まれていたという。
八百長が行われたとみられる取組が外部の賭博の対象となっていた形跡は無く、八百長行為そのものには違法性がないため刑事事件に発展する可能性は低いとみられる。大相撲の八百長疑惑は以前から取り沙汰されてきたが、相撲協会はこれまで一貫して否定してきた。ただ今回"物証"が発見されたことで、協会は厳しい対応を迫られそうだ。
警視庁は昨年7月、野球賭博の中心となっていた阿武松部屋など関係先約30カ所を家宅捜索し、力士らから50台以上の携帯電話を押収した。多くの携帯電話はメールや通話履歴が削除されていたが、庁内の専門部署でデータの復元作業を続けていた。
捜査関係者によると、このうち現役力士らの携帯電話から、特定の勝ち星を現金で売買したことを示す文面が含まれたメールが発見されたという。同庁は一部の取組で八百長が行われた疑いがあると判断。「野球賭博以外にも不正行為があった疑いがある」(捜査幹部)として警察庁に報告した。
野球賭博事件では、現役の幕内、十両力士を含む約40人が賭博への参加を認め、警視庁は1月26日、胴元役として阿武松部屋の元幕下力士、山本俊作容疑者(35)らを賭博開帳図利ほう助容疑などで逮捕。山本容疑者と、もともと胴元だったとされる山口組弘道会系組長(故人)との間で、現金数千万円の授受があったことが分かっている。