石原都知事、築地市場の豊洲移転決断 予算執行を表明
東京・築地市場(中央区)の豊洲地区(江東区)への移転問題で、石原慎太郎都知事は22日の記者会見で、執行を凍結していた今年度の移転関連予算の全額1281億円を執行すると発表した。これを受け都は年度内に豊洲の環境アセスメントや用地購入などを始める方針。"都民の台所"として親しまれた築地市場の移転計画が本格的に動き出す。
一方で、都議会は民主など移転に慎重な会派が過半数を占めており、建物の設計費などを含む来年度予算の審議が紛糾するのは必至。都が目標とする2014年度の開場はなお微妙な情勢だ。
築地市場移転をめぐっては、知事与党の自公が支持する豊洲移転案と、民主らが検討する現在地での再整備案の比較が続き、結論は出ていない。だが今年度予算は既に成立しており、法的には同日の都知事の判断を受け、都は移転手続きを進めることができる。
22日の会見で石原都知事は「再整備案は開場まで最低十数年かかる致命的な欠点がある。豊洲への移転を決断した」と話した。
移転関連予算は今年3月に成立したが、第1党となった民主の主張で「知事は議会の検討結果を尊重する」とした「付帯決議」が付けられた。決議に法的拘束力はないが、都知事は議会への配慮から執行を止めていた。
議会では移転問題を話し合う特別委員会で結論が出ず、今月初めに継続審議が決まった。会見で石原知事は「結論がだらだら先送りされている。議会が決めかねるならば、知事が歯車を大きく回すしかない」と話した。
一方、大沢昇・都議会民主幹事長は「都が豊洲の土地を買った場合、来年度予算を否決することも選択肢にある」とけん制した。
築地市場の建物が老朽化したため、都は1986年に現在地での再整備を決定。だが関係者の意見調整が難航するなどして断念し、2001年に豊洲移転に方針を変更。その後移転予定地から環境基準を大きく上回る汚染物質が見つかったが、都が委託した専門家の「技術会議」は今年7月、「物質は除去可能」との見解を示している。