前原外相、尖閣衝突事件「悪質な事案、逮捕は当然」
前原誠司外相は28日午前の参院外交防衛委員会の閉会中審査で、尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件について「漁船が巡視船に体当たりしてきた。悪質な事案で沈没したかもしれない。逮捕は当然だ」との考えを示した。尖閣諸島については「東シナ海に領土問題は存在しない。我が国固有の領土だ」と重ねて強調した。
外相は海上保安庁が衝突の経緯を撮影したビデオを、海保を所管する国土交通相在任中に見た結果、漁船がカジを切って体当たりしており、故意に衝突させたことは明白だと指摘した。
ビデオの公開については「船長は処分保留なので、ビデオは証拠物件として検察にある。刑事訴訟法に基づいて判断がなされるべきだ」と語った。鈴木久泰海上保安庁長官は「今後の捜査の状況を考慮して適切に判断する」と述べた。民主党の斎藤嘉隆氏への答弁。
民主党の鉢呂吉雄国会対策委員長は同日午前、国民新党の下地幹郎国対委員長に、野党が求めればビデオ公開に応じる考えを示した。
これに関連して、北沢俊美防衛相は28日午前「2国間がエスカレートしないよう、話し合いの機運を早急につくるべきだ」と述べた。今後の対応に関しては「官房長官のもとに関連各省が協議をする場を設けるべきだ」との考えを示した。尖閣諸島への自衛隊配備に関しては慎重な考えを表明した。首相官邸で記者団に語った。
馬淵澄夫国交相は記者会見で、同様の事案が起きた場合の対応について「今回は海保として適切に対応した。今後も変わることはない」と強調。中国の旅行会社に訪日旅行を自粛する指導があったことに関しては「27日時点で解除されていない」と述べた。
野党各党は閉会中審査で、公務執行妨害で逮捕した中国人船長を処分保留で釈放した政府の対応について、政治介入の有無や責任の所在などを追及した。