アジア新興国への資金流入鮮明 韓国ウォン4カ月ぶり高値
【ソウル=島谷英明】アジア通貨が対ドルで軒並み上昇している。27日のソウル市場ではウォン相場が約4カ月ぶりのウォン高圏に上昇したほか、オーストラリアドルも約2年ぶりの高値をつけた。米国の金融緩和継続や先進国の景気に対する過度な悲観論が和らいだのを背景に、運用リスクをとりやすくなった海外マネーの流入が増えている。
ソウル市場のウォン相場終値は1ドル=1148.2ウォンと1150ウォンの節目を突破し、5月18日以来のウォン高水準に上昇。27日は韓国総合株価指数(KOSPI)も外国人投資家主導で続伸となり、証券投資に伴うウォン買い・ドル売りが強まったとみられる。
ウォン相場は最近1週間で約1.4%上昇し、市場では金融通貨当局によるウォン売り・ドル買い介入の観測も高まっている。27日は対円でも100円=1360ウォン近辺と前週末比8ウォン程度のウォン高・円安で推移した。
シドニー市場ではオーストラリアドルが一時1豪ドル=0.9623ドルをつけた。豪準備銀行(中央銀行)が10月5日の理事会で5カ月ぶりの利上げに踏み切るとの観測が強まり、米豪の金利差拡大の思惑から豪ドルが買われた。
タイバーツも27日、前週末比約0.7%高い1ドル=30バーツ台半ばで推移。フィリピンペソも前週末比0.5%弱上昇した。堅調な景気回復が続くアジアの通貨は上昇余地があるとの指摘が多いが、介入への警戒感が相場の上値を抑える展開につながる可能性もある。