林原、先行投資が負担に 非上場で情報開示少なく
私的整理で再建へ
バイオ関連企業として知られる林原(岡山市)が経営に行き詰まったのは、研究開発の先行投資の負担がかさんだことが主因だ。非上場の同族企業で長期的な研究開発体制をとっていたが、食品の甘味料などに使う主力製品の「トレハロース」に次ぐ事業の育成が遅れていた。同社は私的整理の手法である事業再生ADR(裁判外紛争解決)で、事業再建の道を探るが、不正経理の疑いも浮上しており、先行きは不透明だ。
同社は林原健社長と弟の靖専務が経営全般を取り仕切っている。具体的な開発案件を選定し、投資を決めるワンマン体制で、医薬品の開発や様々な天然甘味料の量産を進めてきた。ただ近年は大きく成長する製品が出ていなかった。
直近の決算として2009年度のグループ売上高を800億円と公表している。非上場であるため経営情報の開示が極端に少なく、経営の実態には不明な点も多い。開発投資がかさみ、借り入れに依存する体質に陥っていたもようだ。
同社は1883年創業の水あめ製造業が発祥。1994年にトレハロースの量産化に世界で初めて成功したほか、インターフェロンなど医薬品の開発・製造にも力を入れている。医薬品の開発には長期にわたり多額の投資がかかる。その資金調達に迫られて売上高を水増しする不正経理に手を染めた可能性がある。