林原、更生法申請に切り替え 私的整理を断念
バイオ企業の林原(岡山市)は2日、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決)による再建を断念し、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。負債総額は1318億円。私的整理の成立には全債権者の同意が必要だが、取引金融機関の調整がつかなかった。法的整理に切り替え、経営再建を目指す。
更生法の手続きを申請したのは林原のほか、開発会社の林原生物化学研究所(同)、販売会社の林原商事(同)。また退任の意向を示していた林原の林原健社長と弟の靖専務が同日付で辞任した。
同日会見した林原前社長は「金融機関の間で債権の保全状況に差があり、事前の調整が不調だった」と説明した。林原が求めていた債務株式化などの金融支援では経営再建できるか疑問視する声も出ていた。また過去に売り上げの水増しなどの不適切な会計処理をしていたことから、法的整理が望ましいとの意見も強まっていた。
林原側は「不正経理」を認めており、近く実態を解明するための調査委員会を設置する。今後、法的整理による再建を目指すが、債務の大幅な圧縮やスポンサー企業探しが焦点になる。会見で保全管理人の松嶋英機弁護士は「スポンサーに手を挙げる企業は多く、重要な本業については再建が可能」と述べた。
林原は天然甘味料の「トレハロース」などで知られる非上場企業。開発資金を金融機関からの多額の借り入れで調達するなど財務状況は悪化していた。551億円の債務超過に陥り、290億円の債務株式化などの支援を求めていた。
メーンバンクの中国銀行は同日、林原向けの債権総額が454億円で、このうち担保などで保全されていない198億円について全額引き当て計上すると発表した。業績への影響については「精査中」としている。