JTの11年3月期、純利益を上方修正 「たばこ」想定より減らず
日本たばこ産業(JT)は7日、2011年3月期の業績予想を上方修正した。連結純利益は前期比2%減の1360億円と従来予想(17%減の1150億円)より減益幅が縮小する。国内でたばこ増税後に販売が事前想定ほど落ち込まなかったため、たばこの販売計画を上方修正した。海外でも値上げや市場占有率(シェア)の上昇でたばこ事業が増益になりそう。
売上高は微減の6兆1200億円、営業利益は4%増の3080億円を見込む。営業利益はこれまで減るとみていたが、一転して増益となる。
昨年10月にたばこ1本あたり3.5円の増税になったのに伴い、商品平均で約38%の値上げを実施した。値上げ幅が大きく、増税前の駆け込み需要が膨らんだため、増税後の1年でたばこの販売が25%減ると見積もっていた。だが、コンビニエンスストアでの売り上げの落ち込み幅が予想より小さかったため、同20%減に見直した。
この結果、国内たばこの今期の販売本数を前期比17%減の1255億本から、同12%減の1335億本に修正した。国内たばこ事業の通期の予想営業利益は前期比微増の1990億円と従来予想から270億円上方修正した。
海外たばこ事業の営業利益見通しも20億円上方修正した。各国で値上げしたことで10年1~12月の販売本数は4284億本と見込みを1億本下回ったが、ロシアなどではシェアが上昇した。期中想定平均レートは1ドル=87円だったが、実績では1ドル=87.79円とわずかに円安になったことも支えだ。
猛暑で飲料が伸びた食品事業は15億円上方修正。子会社の鳥居薬品で契約一時金の支払いがある医薬事業は20億円下方修正した。
同日発表した10年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比微減の4兆6479億円、純利益は12%増の1195億円だった。カナダ行政当局に訴訟の和解費用として支払った約130億円を特別損失として計上したが、本業の利益増や為替差損の減少で吸収した。