子供への性犯罪出所者、1割超が再犯 警察庁調べ
13歳未満の子供への暴力的な性犯罪の再発防止に向けた「出所者情報提供制度」の対象者のうち、1割超が再び性犯罪で摘発されていたことが4日、警察庁の調査で分かった。出所後1年未満の再犯が過半数で、7割は満期出所者だった。更生への影響などから警察による本人への接触は一律に認められておらず、警察庁は再犯リスクに応じて面談を行えるようにするなどの対策強化を法務省と検討する方針だ。
同制度で、法務省は今年5月までの5年間に740人(満期出所者440人、仮釈放者297人、刑執行停止者3人)の情報を警察庁に通知。このうち14%の105人が子供や成人への性犯罪の再犯で摘発され、49人は子供への暴力的性犯罪の再犯だった。
再犯者の大半は、「罪を償った」ため所在地を届ける義務のない満期出所者(74人)と仮釈放期間の終了者(28人)で、保護司らによる定期的な面会などの保護観察の付く仮釈放期間中は3%弱の3人のみだった。再犯時に警察が所在をつかめていなかったのは4分の1に当たる26人で、25人が満期出所者、1人が仮釈放者だった。
再犯者の出所時の年齢は30代が42%、40代が25%、20代が21%。再犯までの期間は出所後1年未満がトータルで54%、同2年までが同80%を占め、刑務所内での矯正にも課題を残す結果となっている。
警察庁は法務省から通知を受けた出所者の所在確認について、本人や周囲に接触しない「外形的な形」で行っているが、そもそもオートロックのマンションなどでは確認は難しく、5月末時点で740人のうち200人の所在が確認できていない状態となっている。
警察庁幹部は「制度はあっても現在のやり方では限界があり、再犯が起こっているのに手も足も出せない現状がある」と指摘。「出所後間もない満期出所者ら再犯リスクが高いと考えられる対象者に対しては、同意を得て面談をするなど、かかわり方を検討する必要がある」としている。