世界穀物生産、10年1%減 FAO予測「需給均衡」
【ジュネーブ=藤田剛】国連食糧農業機関(FAO)は24日にローマで開いた穀物に関する特別会合で、2010年の生産量が前年比1%減の22億3900万トンになるとの予測をまとめた。前年実績を若干下回るものの、過去3番目の高水準となる。加盟各国は生産量や消費量について情報交換し、「穀物の世界的な需給は均衡している」との認識で一致した。
会合では、穀物価格の急上昇は「投機的な動きと一部輸出国の政策が主因」と結論付け、輸出を停止したロシアに早期再開を求めた。ただ、ロシアは要求に強く反発し、実現するかは不透明だ。
会合には日本、米国、欧州各国、中国、豪州、ロシアなど75以上の国・地域が参加。穀物は干ばつでロシアの生産が減る一方、米国や豪州での生産は順調だと分析した。
各国は「価格が急上昇したのは市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)ではなく、穀物市場が金融取引の影響を強く受けるようになったためだ」との見方で一致。需給に関する正確なデータを提供して実勢を映した適正な価格形成を促すため、FAOの情報収集能力を強化することでも合意した。
会合では「ロシアの輸出停止が価格高騰を招いた」と主張する国々に対し、ロシアが「根拠が乏しい」と反発。議論が紛糾したため、夕刻に終わる予定だった会合は夜半まで延長された。