村木元厚労省局長に無罪判決 郵便不正で大阪地裁
障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元厚生労働省局長、村木厚子被告(54)の判決公判で、大阪地裁(横田信之裁判長)は10日、無罪を言い渡した。検察側は懲役1年6月を求刑、元局長は一貫して無罪を主張していた。
元局長は昨年6月の逮捕以来、「部下らと共謀したことも、指示も一切していない」などと主張。検察側は、自称障害者団体「凜(りん)の会」が国会議員を通じて証明書発行を厚労省に依頼した「議員案件」だったとし、元局長が部下らに偽造証明書の発行を指示したと主張して、双方は全面的に争った。
公判では、村木元局長と共謀したとされる凜の会設立者、倉沢邦夫被告(74)=一審・一部無罪、検察側控訴=や、部下だった元同省係長、上村勉被告(41)=公判中=ら計17人(取り調べ担当検察官6人含む)が証人出廷。上村元係長が一転して「独断で偽造した」と証言するなど、元局長の関与を認めた捜査段階の供述調書の内容を、大半の証人が否認する異例の展開をたどった。
横田裁判長は5月、「検事の誘導があった」などとして、関係者らの供述調書の大半を証拠採用しないことを決め、検察側の論告は冒頭陳述に比べて内容が大幅に後退。一方の弁護側は最終弁論で「女性キャリア官僚を起訴するという結論ありきで、強引な捜査と起訴に及んだ」などと、検察の捜査のあり方を批判していた。