社会保障「全世代型」に 改革へ政府検討会が5原則
政府の「社会保障改革に関する有識者検討会」(座長・宮本太郎北大教授)は22日の会合で、政府・与党への提言に盛り込む5つの基本原則をまとめた。現状では社会保障給付の対象が高齢者世代に偏っているとして、現役世代への給付を含む「全世代型の社会保障」などを打ち出した。
基本原則は(1)包摂型の社会保障(2)全世代型の社会保障(3)支援型のサービス給付(4)包括支援(5)安定的財源に基づく社会保障――の5つ。12月上旬にも正式に決め、社会保障改革検討本部(菅直人本部長)に提出する。
「包摂型の社会保障」は国民の仕事などへの参加を保証することで、社会の活力を引き出していくという考え方。貧困や格差の是正にもつなげる。「支援型のサービス給付」もこれに関連し、求職者支援などサービス給付の充実を求める内容。「包括支援」ではワンストップサービスなど給付対象の目線に立った体制づくりを促す。
また高齢者だけでなく、若者や子育て世代などに目配りした「全世代型」が重要と指摘。制度の信頼性を裏打ちするため、消費税などによる「安定財源に基づく社会保障」の確保も打ち出した。
提言は企業の終身雇用慣行の崩壊や単身世帯の増加などで低下した日本社会の生活保障機能の再設計を目指すもの。企業や地域社会の支え合いの機能が崩れることで孤立しがちな人を、再び社会に参加させることを目的に社会保障制度を構築する狙いだ。
提言にはこのほか、各制度の具体的な改革案や優先順位について盛り込むほか、改革の実現に向けて与野党が話し合う「社会保障円卓会議(仮称)」の設置も提案する方向。政府・与党の検討本部はこの提言を踏まえ、改革の方向性を記した中間報告を年内にまとめる。