凸版印刷、線幅20ナノの回路原版開発 米IBMと
凸版印刷は9日、米IBMと共同で、半導体の回路線幅を20ナノ(ナノは10億分の1)メートルまで微細化できるフォトマスク(回路原版)の量産技術を確立したと発表した。受注次第、量産に入る。フォトマスクで20ナノメートル台前半の量産供給を表明したのは凸版が初めてという。
フォトマスクを使って回路をシリコンウエハーに焼き付ける露光装置には、現在の主流であるArF(フッ化アルゴン)レーザー光を使える。純水を使い光の集約度を高める液浸技術にも対応。半導体メーカーは既存設備のまま、最先端の微細化技術を導入できる。
回路線幅20ナノメートル台の半導体は、東芝や韓国サムスン電子などメモリー大手が試作中。微細化のため、露光装置ではEUV(極紫外線)を使う新型装置の開発も進んでいる。凸版が量産レベルで既存技術の延命にメドをつけたことで、半導体メーカーの投資戦略にも影響する可能性がある。
フォトマスクは朝霞工場(埼玉県新座市)で生産する。新材料の採用で回路パターンの解像度を高めるなどした結果、線幅を狭めることができた。マスクの製造は既存設備をほぼ流用でき、大きな投資は不要という。
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