乗用車8社、9月国内生産10.6%増 トヨタは減少
国内乗用車8社は25日、9月の生産、販売、輸出の実績(速報値)をまとめた。8社合計の国内生産は前年同月比10.6%増の88万6721台。エコカー補助金は9月7日に打ち切られたが、それまでの駆け込み需要が下支えになった。トヨタ自動車は国内販売が低迷し、国内生産は1.4%減となった。
トヨタの国内生産は30万5853台で、11カ月ぶりにマイナスに転じた。「(期限前の)補助金切れを前提に生産計画を組んでいた」ため、一時的に生産を絞ったとみられる。
2009年発売の新型「プリウス」の好調が続いていた国内販売が6.3%減と、14カ月ぶりの減少となったことが響いた。輸出も欧州景気の低迷などの影響で11.0%減と落ち込んだ。
トヨタは海外生産も14カ月ぶりに減少。欧州での販売不振に対応するため英国工場の生産ラインを8月に2本から1本に縮小。米国では米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場「NUMMI」(カリフォルニア州)の生産を3月末に終えた影響が出た。中国も2カ月ぶりに減少した。
8社合計で見ると、上半期(4~9月期)の国内生産は前年同期比22.5%増の約457万台。エコカー補助金の追い風を受け同16.4%増となった国内販売が下支えした。
9月実績では国内販売が2.0%減とマイナスに転じ、国内生産も10.6%増となり、8月と比べ伸び率が9.2ポイント鈍化している。
国内販売は10月以降、大幅な反動減が予想されるが北米やアジア向けの輸出が好調なため「10月以降も国内生産に大きな変化はない」(ホンダ)との見方もある。
8社合計の輸出は9月単月で9.3%増、上半期では31.3%増となった。ただ、1ドル=80円近い円高は国内生産を安定的に維持するには「限界を超えている」(スズキの鈴木修会長兼社長)との指摘もある。10月以降は輸出が減速するとの見方もある。
急激な円高に対し、各社は当面は販売台数の上乗せとコスト削減努力で埋め合わせる考えだが、この水準が続けば収益への影響は避けられない。円高が長期化すれば「海外から日本に車を輸入すればいい」(ホンダの伊東孝紳社長)との声も出ており、国内では生産調整を迫られる可能性もある。