NY株安・円高止まりが懸念材料に(先読み株式相場)
28日の東京株式市場で日経平均株価は反落か。前日27日の米株式相場が反落、円相場が1ドル=84円台前半で高止まりしていることを受け、幅広い銘柄が売りに押される公算が大きい。あす29日発表の日銀企業短期経済観測調査(短観)で景況感を見極めたいとの雰囲気もあり、終日買い見送り気分の強い展開が続くだろう。売り一巡後は、節目の9500円近辺での一進一退となりそうだ。
前日の米株式市場でダウ工業株30種平均は48ドル安で終えた。前週末に約4カ月半ぶりの高値を付けたことから、短期的な利益を確定する目的の売りが優勢だった。アイルランドの大手銀行が格下げされたことで、欧州銀行の財務懸念も改めて意識された。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で日経平均先物12月物の清算値(円建て)は9510円と、前日の日経平均終値を100円近く下回っている。朝方は電機や自動車など輸出関連株や大手銀行株を中心に、売りが先行する可能性が高い。
3月・9月期決算銘柄の権利落ち日を迎えることも重荷だ。市場では配当落ち分について、日経平均を60円あまり押し下げる要因との見方がある。
円相場はここ数日の高値圏にあるが、政府・日銀による円売り介入への警戒感から一段の上値は限られよう。前週24日の午後、1ドル=84円台前半から突如、85円台まで一気に下落する場面があった。野田佳彦財務相は円売り介入について「ノーコメント」としたが、24日の連想から円を買い進みにくい雰囲気は強い。きょうも円安方向に動意付くような場面があれば、介入の思惑から売り方の買い戻しなどを誘い、急速に下げ渋る展開も考えられる。
28日付日本経済新聞朝刊が「日銀は10月4~5日の金融政策決定会合で、期間3~6カ月の資金をいっそう潤沢に供給するなど追加の金融緩和に踏み切る方向で検討に入った」と報じた。米国が追加緩和に踏み切った場合の円高進行を防ぐ狙いもあるとみられ、株式相場にも一定の下支え材料となりそうだ。
前日は消費者金融株が「武富士が会社更生法の適用を申請する」との報道を受けて売り込まれた。武富士は「決定事実はない」と発表したが、きょうも関連株の動向が注目される。
国内では8月の自動車各社の生産・販売実績が発表。米国では7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数や9月の消費者信頼感指数が発表される。北朝鮮が朝鮮労働党代表者会を開く予定だ。〔日経QUICKニュース〕