首相、調査と原因究明を指示 尖閣映像
菅直人首相は5日の閣議後の閣僚懇談会で、尖閣諸島沖での海上保安庁と中国漁船の衝突の様子を映したビデオがインターネット上に流出したとみられる問題に関して「情報管理の徹底と事実関係の確認をしっかり行うように。原因究明しなければならない」と指示した。前原誠司外相は5日午前の衆院外務委員会で「仮に政府の情報が流出したなら事件として扱わないといけない。徹底的に捜査し真相究明しないといけない」と述べた。
仙谷由人官房長官は5日の閣議後の記者会見で、中国から外交ルートを通じてネット上の映像に関する問い合わせがあり、外務省が「当該映像の真偽についてコメントする立場にはない」と回答したと明らかにした。横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)での実施で調整している日中首脳会談については「影響なく行われてほしいと思う」と期待を示した。
柳田稔法相が「那覇地検で詳細を確認している」と語るなど、政府は映像の管理状況など事実確認を急いでいる。野党はビデオ映像の全面公開を求めるとともに、担当閣僚らの責任を追及する構えだ。自民党の石原伸晃幹事長は総務会で「すべてが公開されるまで国会の審議に入るべきではないという強い姿勢で臨む」と、審議拒否の可能性にも言及した。
仙谷長官は5日午前1時過ぎ、ネット上の尖閣映像について秘書官から連絡を受け、同日朝にテレビの報道で映像を確認したという。映像の真偽を巡っては「私が捜査の当初段階で見たもの、先般国会に提出する前に見たものと違う部分もある気もする。調査しないと分からない」と述べるにとどめた。
北沢俊美防衛相は記者会見で「危機管理の質が問われる。国際的にも極めて残念だ」と語った。