武器輸出三原則、防衛相が見直し意向 米に伝達へ
「大綱見直しで一定の方向性を」
【ハノイ=小嶋誠治】北沢俊美防衛相は10日夜(日本時間同)、ハノイで11日に予定している米国のゲーツ国防長官との会談で武器輸出三原則を見直す意向を伝達する方針を明らかにした。北沢防衛相は「(年末までにまとめる)新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)の見直しの中で、ある一定の方向性を出すべきではないか。防衛相としての一つの考え方として、会談で話をする」と表明した。ハノイ市内のホテルで同行記者団に語った。
北沢防衛相は三原則見直しにかねて前向きで、同日も「国際的には(戦闘機などの)共同開発が主流で、(国内防衛産業が)身動きが取れず、生産・技術基盤が劣化するのを手をこまぬいて見ているわけにはいかない」と強調。次期主力戦闘機(FX)の選定で、米国が他国と共同開発する装備品の開発に日本企業が参加できない現状を踏まえての発言とみられる。
武器輸出三原則を巡っては、1967年に佐藤栄作首相が国会答弁で共産圏諸国などへの武器輸出禁止を表明。76年には三木武夫首相が技術や製造設備の輸出も禁止する「全面輸出禁止」を政府の統一見解とした。その後、83年に中曽根康弘政権が米軍向けの武器技術の供与を例外規定にし、2004年には小泉純一郎政権が米国との弾道ミサイル防衛(MD)システムの共同開発・生産を例外扱いにした。
北沢防衛相はその他の装備品の国際共同開発に道を開きたい考えだが、こうした装備品の紛争当事国への流出にどう歯止めをかけるかが課題となる。同時に菅直人政権としてこの課題にどう向き合うかも焦点となる。政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・佐藤茂雄京阪電気鉄道最高経営責任者)が8月にまとめた報告書も、武器輸出三原則の緩和を提言している。