電気自動車や路面電車、街はどう変わる? さいたま市が研究会
さいたま市は2010年度中に電気自動車(EV)をはじめとした次世代交通に関する産学官の研究会を発足させる。EVなどが実際に走るようになった社会を想定し、生活や地域経済に与える影響を研究する。市内外の企業に参加してもらい、技術開発のタネを探ってもらう。市は地域経済の活性化をにらみつつ、今後のまちづくりにも役立てる考えだ。
市は09年度から日産自動車や三菱自動車などと連携し、EVの普及に向けた事業に力を入れている。研究会は埼玉大学が今年7月に市や県などと開設した産学官の共同研究拠点、埼玉次世代自動車環境関連技術イノベーション創出センターで開催する。
発足させるのは「モビリティと経済活性化研究会」。埼玉大の長谷川孝明教授が主査となり、東京大学や香川大学などの研究者が合計10人以上集まる予定だ。企業に関しては、市内に本社があるクラリオンやカルソニックカンセイなどのほか、市外にも働きかけ、10以上の自動車関連企業に参加してもらうという。
研究課題は市中心部への乗り入れを排ガスが出ないEVや電気バイクなどに限定したり、高齢者に1人乗りEVなどを貸し出したりした場合の影響など。乗り入れを規制して環境や地域経済、人の流れがどう変わるか、外出しにくい高齢者を商店街へ誘導することができるかなどがテーマだ。
次世代路面電車(LRT)といった新交通システムの導入も研究課題になりそうだ。市産業展開推進課は「東京都心ほど公共交通網が発達しておらず、地方ほど自動車社会ではない地域特性を生かす」としており、他の地域にも応用できるような研究を進める方針。
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