三洋の半導体工場閉鎖 群馬知事、パナソニックに雇用維持要請へ
金型大手、宮津製作所(群馬県大泉町)の事業譲渡に続き、三洋電機が大泉町の半導体工場閉鎖を決めたことを受け、県内に波紋が広がっている。同工場もある三洋グループの大泉町の拠点では6000人が勤務する。大沢正明知事は今後、親会社のパナソニックに雇用維持などを要請する。
三洋電機は年内に、子会社の三洋半導体(大泉町)を米半導体のオン・セミコンダクターに売却する。生産子会社の三洋半導体製造(新潟県小千谷市)は2012年をめどに、半導体の「前工程」を手がける群馬と岐阜の工場を新潟工場に集約する。群馬工場の700人は新潟工場に移る見通しだ。
三洋半導体の売却が決まった7月以降、県は大泉町などと三洋電機に雇用の維持を要請してきた。今後は「知事が親会社のパナソニックの社長に、東京製作所全体での雇用維持や新事業の拠点としての活用などを要請する」(三沢益巳産業経済部長)方針だ。
大泉町の斉藤直身町長も「三洋の半導体工場の閉鎖が町の経済に与える影響は大きい。宮津製作所の事業譲渡や人員整理と重なり残念だ」と肩を落とす。
大泉町は1月に町民の雇用に対して補助金を出す独自の企業誘致策を導入した。三洋や宮津の相次ぐ生産拠点の縮小・閉鎖で「優遇制度制度を強化することを含めて対策を考えたい」(商工課)としている。
三洋電機の東京製作所の面積は96万平方メートル。この中にグループ会社の半導体工場などが入っている。戦前は中島飛行機の工場だった土地で、1959年から三洋電機が「東の製造拠点」として活用し始めた。80年代後半には1万2000人の従業員がいたが、その後、家電製品の大半の生産を中国に移転したことなどで現在は約6000人にまで減っている。
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