シャープ、パソコン生産から撤退 「メビウス」など
シャープは21日、パソコン事業から撤退することを明らかにした。「メビウス」ブランドのノート型などを販売していたが、端末単体では採算確保が難しいと判断した。多機能携帯端末の販売とコンテンツ配信を組み合わせて12月に始める「GALAPAGOS(ガラパゴス)」事業などにビジネスモデルを転換する。
シャープは液晶や半導体、通信に関する独自技術を生かしてパソコン事業を展開してきた。1990年代にはハードディスク駆動装置とフロッピーディスク両方を内蔵したタイプで世界最小・最軽量のノート型を開発。2009年6~10月には液晶パッドで手書き入力ができるノートパソコンを出したが、その後は新商品を出していない。生産も昨年末までに打ち切っている。
シャープはパソコンを海外で委託生産していたため、撤退に伴う設備の除却損などは発生していないとみられる。販売済み商品の修理などサポート業務は今後も続けるという。
シャープのパソコン事業からの撤退は、国内メーカーでは07年に生産から撤退した日立製作所に続く動き。パソコンは基本ソフト(OS)は米マイクロソフト、半導体は米インテルに握られ、パソコンメーカーにとっては差異化が難しく、利幅が低い製品。このためシェア上位企業でも採算はぎりぎりだ。
同時に「iPad」などの多機能携帯端末や、スマートフォン(高機能携帯電話)など、端末の垣根を越えた競争が激化するのは確実。従来型のパソコン事業を縮小する動きが相次ぐ可能性もある。
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