新卒採用開始、5割超「遅らせるべき」 主要企業
主要企業の5割超が現在よりも新卒採用活動の開始時期を遅らせるべきだと考えている――。帝国データバンクが4日発表した調査で、例年4月ごろに始まる新卒採用時期について、こうした考えが明らかになった。採用活動の早期化を巡っては、日本貿易会が学生の就学環境を阻害しているとして、日本経団連などに開始時期を遅くするよう働き掛けている。調査は今後の議論にも影響を与えそうだ。
帝国データが毎月実施している景気動向調査の対象2万2822社をベースに10月19~31日に調査。有効回答は1万1163社だった。
採用活動の開始時期を現在よりも遅らせることへの賛否を尋ねたところ、55.4%が「賛成」と答え、「反対」(6.9%)を大きく上回った。賛成理由は「人材の見極めは社会人の一歩手前が望ましい」「学業に専念する期間を多くとることが社会全体のプラス」といった意見が挙がった。
企業の間では優秀な人材を早期に囲い込みたいという意欲はなお強い。採用開始時期を企業が横並びで遅らせることについて、「現実的には不可能」との意見もあった。
日本学術会議が8月に文部科学省に出した「卒業後3年以内の既卒者を新卒扱いで採用すべきだ」との提言について尋ねたところ、「賛成」は38.4%。「反対」は23.2%で、「分からない」は38.4%だった。反対の中では「学生の就職競争率が高くなるだけ」などの理由が挙がった。