首相、途上国支援へ1620億円拠出表明 COP10
名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は27日、閣僚級会合を開き、日本や欧州などの先進国は途上国への資金支援を相次いで表明した。ただ途上国の一部は支援が不十分だと主張し、生物の利用と原産国への利益配分を定めた「名古屋議定書」など主要議題の交渉は難航している。
菅直人首相は途上国支援に2010年からの3年間で20億ドル(約1620億円)の拠出を表明した。拠出する約1620億円には既に公表済みの「生物多様性日本基金」も含める。同基金は5年間で合計50億円を拠出する予定で、このうち3年分の30億円を充てる。基金以外の資金は政府開発援助(ODA)の枠組みを活用。学校建設時に水辺に生物が生息する「ビオトープ」を設けることなどを想定している。
同日の会合では英国も途上国の森林保全に1億ポンド(約130億円)の提供を表明。欧州連合(EU)は海の生態系保護のために100万ユーロ(約1億1千万円)を充てるとした。前回開催国のドイツは既にCOP10開幕式で08~12年に5億ユーロ(約570億円)、13年以降は毎年5億ユーロの支援を表明している。
先進国の支援表明に対し、途上国側の反応は割れた。「(11~20年の)生態系の保全目標を達成するために歓迎したい」(コンゴ民主共和国)と歓迎する声がある一方、「日本政府のデモンストレーションにすぎない」(ブルキナファソ)との意見も出された。