2015年ミラノ万博、テーマは「食」
総責任者に聞く 総事業費1.6兆円
味巡りから飢餓問題まで
2015年にイタリア北部のミラノで予定されている万国博覧会(万博)の総責任者に就いたジュセッペ・サーラ氏(運営法人の最高経営責任者=CEO)は日本経済新聞の取材で開催計画の全容を明らかにした。これまでの万博とは異なり、テーマを身近で具体的な「食」に絞り込む。インフラ整備なども含めた総事業費は150億ユーロ(約1兆6000億円)で、2000万人の来場者を見込む。日本政府や企業にも積極的な出展を呼びかけた。一問一答は以下の通り。
――テーマをどのように選んだのか。
「発展途上国での人口増加で、世界的に食料の重要性がより高まっている。ミラノ万博では、単に各国の地元料理を紹介するだけでなく、アフリカの飢餓問題や食料自給率の維持、安全性の確保、バイオテクノロジー、遺伝子組み換え食品の是非、食による健康増進といった関連する様々な問題も取り上げる」
――開催中の上海万博との違いは何か。
「上海万博のテーマは『より良い都市、より良い生活』で、具体性に欠ける。過去の万博も同様だが、テーマが広すぎ、何を訴えたいのか分かりにくい。ミラノ万博では食という1つの明確なテーマを深く掘り下げる。食は直近の課題であると同時に、将来の課題でもある。文化的、技術的にも奥が深い。来場予定者数や総事業費は上海万博を下回るが、我々は中身で勝負したい」
――開催場所や資金はどう確保するのか。
「ミラノ市郊外の見本市会場近くに決めた。予定面積は100万平方メートルで、会場には運河を張り巡らせる。周辺では地下鉄、高速道路、鉄道などを新たに整備する。例えば、パリからは乗り換えなしで鉄道で直行できるようにする。総事業費の150億ユーロのうち、民間から2億5000万ユーロを集め、残りの4割をイタリア政府、6割を地元自治体が負担する見通しだ」
――日本には何を求めるのか。
「日本には伝統ある食文化があり、人気を集めるだろう。ドアは完全に開かれており、高い技術力を持つ日本企業の参加も歓迎する」
――今後のスケジュールは。
「今年11月にはパリにある博覧会国際事務局(BIE)が15年万博の開催地を正式にミラノに決定する。これを受けて11年初めから各国政府や企業などの出展を受け付ける。11年末までに会場予定地を造成し、12年から本格的な工事を開始したい」
(ミラノで、藤田剛)