中国、フジタ社員ら4邦人拘束 軍事管理区域侵入か
【北京=多部田俊輔】中国国営の新華社は23日、中国河北省石家荘市の国家安全機関が、同省内の軍事管理区域に侵入したという理由でゼネコンのフジタの日本人社員4人を調べていると報じた。軍事的な機密対象物を違法に撮影していたとしている。北京の日本大使館によると4人は20日に身柄を拘束されたという。
日本大使館は24日、中国側から23日夜に「4人を河北省石家荘市で取り調べている」との通報があったことを明らかにした。取り調べの理由については「軍事施設保護に関する法規に違反した」と指摘しているという。
フジタは24日、中国で拘束されている日本人社員の名前を明らかにした。上海にある現地法人に所属する高橋定さん(57)、井口準一さん(59)、東京本社所属の佐々木善郎さん(44)、橋本博貴さん(39)の4人で、現地採用の中国人スタッフを含めた5人で遺棄化学兵器関連の工事受注のため、20日に河北省石家荘市に入ったという。現時点で同行した中国人スタッフとも連絡が取れていないという。
同社の広報担当者は「南京で日本政府発注の遺棄化学兵器関連の工事を終え、次の工事の受注準備のため石家荘に行っていた。工事の準備で現地を撮影するのは通常の行為」と話している。
中国では外国人居住者や観光客が、軍事管理区域と気付かずに侵入したり、施設を撮影したりして警察当局の事情聴取や取り調べを受けるケースがしばしばあるが、中国メディアがこうした事実を報じるのは異例。