ヨシコさんと言われても…妻の友人知ってますか
名前より肩書で話してよ
「今日、ヨシコさんがね……」。食卓で妻が職場での出来事を話し出すと、思わず身構える自分に気付く。妻が話題にしている人物が果たしてどんな人だったか、記憶の糸を必死にたぐり、大急ぎで特定しないとエライことになるからだ。
「ヨシコさんって誰だっけ」。その都度、確認できれば楽だが、そうはいかない。ヨシコさんはこう、ヒロミさんはこうと毎回おさらいすると、それまで何を話していたかを忘れたり、話の勢いがそがれたりする。それで妻の機嫌を損ねることだけは避けたいところだ。
でも、考えてみてほしい。一度でも面識があれば別だよ。もともと人の名前を覚えるのは得意な方ではないし、似たような名をいくつも言われると混乱する。だから、つい適当に相づちを打つと、妻はまたその態度にかみついてくる。一体どうすればいいのやら。
もちろん僕も自分の職場の話を妻にすることはある。そのときは「うちの部長が」などと肩書でいう。わかりやすいだろう?
そうか、よく考えると妻が部長とか肩書で人を語ることはあまりない。とかく立場でモノを語りがちな男とは違うということかな。
興味がないとは言わせない
「わー、タッくんったらお肉食べ過ぎだね」
友人ら3家族とバーベキューをしたときの写真を見ながら話していると、夫は「よくそんなに他人の子どもを覚えられるね」と半ばあきれていう。
私の場合は、同僚や友人を起点に、その家族に新しい情報があれば、脳内ですぐに書き加える。顔が分かれば似顔絵入り。言ってみれば、イラスト付きの家系図がファイルになっていて、頭にぽわっと浮かぶというイメージだ。
ところが、夫の脳内では書き込み機能が稼働しないときがあるみたい。知人のことでも仕事でも、興味がないと判断した瞬間、記憶にとどめなくてよしと無意識に選別しているらしい。
でも「関心がないんでしょ」なんて絶対に言わない。私は私で「この映画見たとき……」などといわれても、すっかり忘れていることがあるからだ。
「明日はタカシさんの誕生日です」。スマホに設定しておいたお知らせ機能に、夫の誕生日忘れを防いでもらったこともある。関心がないからじゃなくて、忙しくて思い出す暇がなかっただけ。興味がなくて忘れたわけじゃないからね。
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