米デル、3者で買収合戦へ 創業者MBOに対抗2案
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手デルの取締役会が指名した特別委員会は25日、デルの創業者であるマイケル・デル最高経営責任者(CEO)が投資ファンドと組んで実施するMBO(経営陣が参加する買収)への2つの対抗提案について、それぞれの提案者と交渉を始めると発表した。3者による買収合戦となる可能性が高まってきた。
デルの取締役会が今後、交渉を進めていくのは「物言う株主(アクティビスト)」として知られるカール・アイカーン氏と、米買収ファンドのブラックストーン・グループ。ともに、デルCEO側が提案した買収価格(1株あたり13.65ドル)を上回る14ドル以上の買収価格を提示した。
25日午前の米株式市場でデル株は買われ、前週末終値比で約3%高い14ドル台半ばで推移している。デルCEO側は買収価格の引き上げなど対応を迫られそうだ。
デルの取締役会議長で、特別委員会の委員長を務めるアレックス・マンドル氏(元AT&T社長兼COO=最高執行責任者)は25日、「デルの株主にとって追加的な価値を生み出す可能性をもたらす2つの提案が出てきたことに満足している」とする声明を発表した。
デルCEOは今年2月、米投資ファンドや米マイクロソフトと組んで、総額244億ドル(約2兆3100億円)のMBOを実施すると発表。デルが主力とするパソコンの市場成長が鈍化しているため、デルの株式を非公開化し、株主の意向や株価を気にせずに経営改革を進める考えを示していた。
しかし、MBO提案の発表後、大株主の投資ファンドが「企業価値を過小評価している」と反対を表明するなどMBOに逆風が吹いていた。
MBOに対する別の提案を検討するために設定された45日の期限を迎えた22日、アイカーン氏と、ブラックストーンがそれぞれ対抗案をデルの取締役会に提出。取締役会は24日、特別委員会を開いて対応を検討していた。