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木目調で患者に優しく 医療機器で始まるもう一つの進化

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形は武骨で色は白一色――。そんな医療機器のイメージが変わりつつある。人間工学に基づいた形状や木目調デザイン、さらには黒色の医療機器も登場している。根底にあるのはいかに患者に優しく、心理的不安を和らげることができるかという発想。高齢化が進む中、検査や治療への嫌悪感を取り除く重要性が高まっており、本来の性能に加え、デザインも含めた機器全体での開発を考える流れが広がっている。

「音がうるさく、空間は狭い。できれば受けたくない」。体内に生じた病変を発見する磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けたある患者は話す。磁場と電波を使って体内の様子を見るMRIは頭部や脊髄、消化器など多くの検査に対応し、高精細な画像を得られる。半面、磁場を変化させる際に大きな音がし、人が入るドーナツ状の空間は狭く圧迫感を与える。

こうした難点を何とか和らげられないか。そんな観点から米系医療機器大手GEヘルスケアが昨年、導入したのが「ケアリングデザイン」という概念だ。同社が2月に発売した「オプティマMR360アドバンス1.5T」は両手で包み込むような形状にし、側面には明るい色の木目調のパネルを採用。さらに発光ダイオード(LED)照明で曲線を描き、柔らかで温かい印象を与える。

病院で検査を受ける患者は緊張するのが普通だ。「機械の冷たい印象を与えないデザインにし、緊張を和らげるようにした」と同社日本法人MRセールス&マーケティング部1.5Tプロダクトマーケティングの清水俊博氏は話す。開口部も外側から徐々に狭まる形状にし、圧迫感を感じにくくした。患者が横たわる検査台は高さを低くし、高齢者が乗り降りしやすいようにするなど随所に配慮の工夫をこらした。

ケアリングデザインを採用したMRIは現在3機種。定価で10億円前後するにもかかわらず、1年で計画を上回る計60台が売れるなど好評だ。木目調パネルのデザインに合わせ、検査室の壁や床を木目にする医療機関もあるという。GEヘルスケアは低価格帯の機種にも導入を拡大し、将来はすべてのMRIに採用する予定。清水氏は「技術が素晴らしくても、患者への優しさを追求しなければならない」と話す。

メーカーが医療機器のデザインに力を入れるのは、機器の性能が良くても、検査や治療自体を敬遠されたり面倒くさがられたりしては病気の発見や症状改善につながらないからだ。高齢化で身体能力が衰えた高齢者の患者が増えることや、激しい各社の開発競争で医療機器の本来の性能が似かより、デザインで差異化する必要が出てきたことなども一因とみられる。医療機関も機器のデザインが患者に与える影響を重視し始めているようだ。

地道な検査や治療が必要な代表的な病気は糖尿病だ。インスリンの自己注射や食事療法を必要とする患者は、血糖測定器と呼ばれる機器で指から微量な血液を採取して血糖の値を測定。適正値になるようコントロールする必要がある。1日数回の血糖測定は面倒だが、それをどう継続しやすくするか。検査機器・診断薬大手のロシュ・ダイアグノスティックス(東京・港)が提案するのは黒い測定器だ。

 同社が昨年11月に発売した「アキュチェックモバイル」は測定器本体と指に刺す穿刺器具を一体化させ、すべて黒色にした。清潔感や安心感が求められる医療機器の色はほとんどが白。異例ともいえる黒にした理由をDC事業部マーケティング部の加賀洋氏は「携帯電話のようで医療機器らしくないから」と話す。

血糖測定は外出先や旅行先ですることもある。ただ「人目が気になる」という理由から抵抗を感じる患者も多かった。周りの目を気にせず、違和感なく使えるデザイン。その1つの解が黒だった。1回ごとの針の交換や測定作業を自動化するなど機器本来の機能も高め、測定の心理的な抵抗を軽減するよう努めた。

計測機器メーカーのコニカミノルタオプティクスが昨年発売した血中酸素飽和度測定器「パルソックス ライト」は鮮やかなピンク、黄色、黄緑と果物をイメージした3色を用意。体調管理に有効な血中酸素飽和度の測定は介護施設や訪問介護でも使われる。「利用者の不安を減らし、気持ちが明るくなるように」(同社)というのがカラフルな色を用いた理由だ。

著名なデザイナーを起用した意欲的な製品もある。歯科医療機器メーカーのモリタ製作所(京都市伏見区)が2011年発売した歯科用ユニット椅子「ソアリック」は、ドイツの著名な工業デザイナー、フリッツ・フレンクラー氏にデザインを依頼。デザイン関連の賞を複数受賞した。開発の狙いは、医療用とは思えない製品にすること。同社営業部の鈴木茂樹氏は「歯医者は怖いといったイメージをなくすよう、機械的でないデザインを目指した」と話す。

価格は約500万円と一般の歯科用ユニット椅子の倍以上にもかかわらず、年間300~400台と販売面でも計画を上回る実績を上げている。全国に約6万8000施設とコンビニエンスストアより多い歯科医院は競争が激しい。患者が足を運びたくなる院内の雰囲気づくりも他の医院と差別化させる重要な要素となっており、製品の特徴が歯科医院のそうした需要に合致したようだ。

デザインの幅が広がる医療機器。ただ「高齢者は使い慣れた製品を好む」(医療機器メーカー関係者)傾向があったり、使い方を間違えないよう既存品と機能によるボタンの色を統一する配慮など一定の制約もある。そうした中でいかに患者が親しみやすく、安心できるようにするか。デザインは付け足しではなく、人の悩みや不安を解消する医療機器の本質に根ざしたものといえそうだ。

(産業部 太田順尚)

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