被爆人形撤去方針で波紋 広島の原爆資料館、抗議の声相次ぐ
今年末から始まる全館改修を前に展示内容の変更を検討している原爆資料館(広島市中区)が、被爆当時の悲惨な状況を再現した人形を撤去する方針を決め、抗議の電話やメールが寄せられている。広島市の松井一実市長も「さまざまな議論があり、もう一度点検する作業があっていい」と再検討に言及した。
等身大のプラスチック製人形は皮膚が垂れ下がり、髪が焼け焦げた女性と子供2人が、がれきの中をさまよう様子を再現。現在の人形は1991年に登場した。
資料館は3年前に「原爆被害を模型ではなく、実物によって伝える」という展示方針を決定。外部有識者でつくる検討会議の委員からも異論が出ず、今月19日、人形に代わり写真や被爆当時の衣服、爆風でゆがんだ壁などの実物に差し替えることが確認された。
だが展示を続けてほしいという声は根強く、資料館や市には28日までに約170本の抗議の電話やメールが寄せられた。〔共同〕