「目に優しいディスプレイ」、半導体エネルギー研究所が新IGZOで提案
半導体エネルギー研究所は、ディスプレイを長時間にわたって見続けた際に感じる目の疲れに配慮した6.05型の液晶パネルを開発し、「FPD International 2012」(2012年10月31日~11月2日、パシフィコ横浜で開催)で披露した。画素数は768×1024で、精細度は212ppiである。
開発品は、駆動素子にIGZO層をc軸方向に結晶成長させた「CAAC(C-Axis Aligned Crystal)」構造と呼ぶ酸化物半導体TFTを用いた。CAAC-IGZO TFTは、一般的なアモルファスSi TFTに比べて、オフ時のリーク電流が低く、静止画を表示する際の書き換え回数を、通常の1秒間に60回から1秒間に1回以下に抑えられるという特徴を持つ。この結果、「自然物や紙の情報を見るように極力同じ映像を見続けられるため、目の疲れが軽減できる」と、半導体エネルギー研究所は主張する。開発品では、「5秒に1回の割合で映像を書き換えている」(同社)という。
バックライト光源には、赤(R)緑(B)青(B)3色のLEDを使用する。青色のLEDは、「目に有害とされる」(半導体エネルギー研究所)、420nm以下の波長成分をカットしたものを用いた。いわゆる「ブルーライト」対策を施すことで、目の疲れをさらに緩和できるとする。
なお、開発品に用いたCAAC-IGZO TFTは、サブピクセルの開口率が52.6%。5枚のフォトマスクを用いて作成された。
(日経エレクトロニクス 佐伯真也)
[Tech-On! 2012年11月5日掲載]