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iPhone6の国内販売、5割増で過去最高に

ソフトバンク、シェア4割でトップも微減

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米アップルが19日に発売したスマートフォン(スマホ)新機種「iPhone(アイフォーン)6」「同6プラス」の国内販売数が昨年の従来機「同5s」「同5c」の同時期と比べ1.5倍と過去最高に達していることがわかった。市場調査会社のBCN(東京・千代田)が発売6日目となる24日までの主要家電量販店における販売実績をまとめたもので、通信会社別ではソフトバンクモバイルがシェアをわずかに落としながら引き続き首位となっている。

3社で激しいキャンペーン合戦

iPhone6/6プラスの発売直後の販売台数を従来機「同5s」「同5c」と比較すると、発売初日は約1.3倍、6日目までの累計で約1.5倍となっており、いずれも2008年のiPhone国内発売以来最多の水準で推移している。

BCNの道越一郎エグゼクティブアナリストは「従来機種で画面の小ささを気にしていた人が買い替えに動いたことと、NTTドコモが扱って2年目となり購入者が増えたことが背景にある。アップルは今回、初期出荷数を多めに用意したとみられ、それもプラスに働いたのでは」と分析している。

モデル別では、4.7型ディスプレーを備えたiPhone6が82%、5.5型ディスプレーの同6プラスが18%。内蔵ストレージの容量別ではiPhone6/6プラスとも64ギガバイトが最多となった。

通信会社別では、ソフトバンクモバイルが発売6日目までの販売台数シェアで42%を獲得しトップを死守した。「(2年前に発売した)iPhone5利用者の機種変更などで予約が好調」(ソフトバンク広報)としている。

08年からiPhoneを取り扱ってきた同社は既存利用者がもっとも多く他社への流出が懸念されていた。だが、下取りキャンペーンなど既存顧客のつなぎ留め策が功を奏し発売6日目までの販売台数シェアで同5s/5cのときの44%から2ポイントの減少にとどまった。

一方、ライバルであるNTTドコモのシェアは25%で昨年の26%から微減となった。「iPhoneを使いたい人の多くは昨年の参入以前に他社へ流出しているとみられ、その分他社よりiPhoneの構成比が低く出ているのでは」(森英二アナリスト)と指摘する。

ドコモ広報は「(BCN集計対象外の)ドコモショップでのiPhone販売が、昨年の一部店舗から今年は全店舗に広がり、販売実績も昨年を上回っている。他社端末の下取りキャンペーンもあり、番号乗り換え制(MNP)による転入も好調」としている。

KDDI(au)のシェアは33%で、昨年の30%から3ポイント増やし、通信3社で唯一シェアを伸ばした。「下取りキャンペーンでau契約者向けの内容を手厚くしたことが奏功し、多くの方に残ってもらえた。ネットワークや修理サービスなど当社の強みを理解いただき、MNPによる転入も堅調だった」(KDDI広報)と分析している。

供給不足、破損トラブル…… 今冬に向け試練

アップルはiPhone6/6プラスについて「発売後3日間で過去最多の1000万台を販売した」と発表しており、国内の販売状況でもそれが裏付けられた格好だ。

ただし今後の生産体制について懸念する声もある。液晶パネルのバックライトの生産遅延や組み立てを担当する台湾の鴻海精密工業の人手不足などが問題となっている。「昨年と違って初期の出荷地域に中国を含めるのを見送ったため日本向けの出荷が増えている可能性がある。世界的に見ればiPhone6/6プラスの品不足は深刻だ」(ディスプレイサーチの早瀬宏バイスプレジデント)と指摘する。

アップル自身も「供給数がもっと増やせれば、さらに多くのiPhoneを販売できたはずだ」と量産体制が万全でなかったことを認めている。さらに、新モデルの購入者から「本体が折れ曲がった」との報告が相次いでおり、これを受けてアップルの株価は23日の102ドル台後半から2日間で約5ドル下落した。もし回収・交換や設計変更となれば今後の量産計画に大きな影響を及ぼす懸念がある。

冬から春にかけては日本の年末商戦・春商戦や欧米のクリスマス商戦、中国の旧正月商戦が重なり、スマホの需要が最盛期となる。アップルが今冬までにiPhone6/6プラスを安定して供給できる態勢を築き、中国を含む各地で販売できるかが今後の焦点となる。

(電子報道部 金子寛人)

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