関電・九電、値上げ幅圧縮へ 高い人件費に批判
経産省専門委
経済産業省は6日の専門委員会で、関西電力と九州電力による家庭用料金の値上げ申請が妥当かどうかを議論した。関西電力は役員OBら顧問に合計で年1億4千万円の報酬を支払っていることが明らかになった。高い人件費や燃料費などコスト削減の余地は大きいとの指摘が相次いだ。値上げ幅は申請時より圧縮される公算が大きい。
2社は原子力発電所の停止で火力発電所の燃料費に多額の経費が発生している。関西電力は平均11.88%、九州電力は平均8.51%の引き上げを経産省に申請し、4月1日から値上げする予定だ。
家庭用の値上げは影響が大きいため、経産省は有識者で構成する電気料金審査専門委員会(委員長=安念潤司・中央大学法科大学院教授)をつくり、電力2社の申請内容を精査している。専門委は2月中に査定方針案を出す。経産省は同方針に基づいて消費者庁と具体的な値上げ幅を協議し、3月中に政府が認可する値上げ幅を決める。
6日の専門委では電力会社の高い人件費を疑問視する声が相次いだ。関西電力は値上げの根拠となる原価の中に、役員OBら14人の顧問報酬を含んでいた。顧問の社用車を用意しているほか、専用の執務室も準備。執務日程を調整する秘書も置いた。九州電力も相談役・顧問の人件費を年8900万円支出し、200平方メートル弱の執務室を用意していた。
委員からは「顧問や相談役を置くことに納得できる説明がない」といった声が噴出した。「現役社員は元上司の顧問を辞めさせるのは難しい。専門委として顧問制度をやめる判断を示す方がよいのではないか」との声も出た。役員報酬が高すぎるという指摘もあり、値上げの原価として見込む人件費は申請時より圧縮される見込みだ。
原価の3割強を占める燃料費も、専門委では見直しを求める声が相次いだ。関西電力は前回の価格改定(2008年)に比べ4200億円、九州電力は1700億円増えると見込んでいる。専門委は「積極的に価格交渉をすれば、燃料費はもっと下げられる」とする。価格の安い米国産シェールガスの普及も見据え、燃料費は申請時より引き下げられると専門委は判断する見通しだ。
発電や配電に必要な資材調達で、関西電力と九州電力は7%程度のコストを削減する方針を示した。一方、東京電力は前回の値上げで10%の削減を約束している。関西電力や九州電力は東京電力のように深刻な原発事故を起こしたわけではないが、専門委は競争発注などの活用を通じ、コストをさらに削ることは十分に可能だとみている。
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