米、レーダー照射「確信」と明言 中国に「懸念」伝達
【ワシントン=吉野直也】米国務省のヌランド報道官は11日の記者会見で、中国海軍艦船による海上自衛隊護衛艦への火器管制レーダー照射があったことを「確信している」と明言した。安倍晋三首相の中国への謝罪要求に理解を示すとともに、中国側に「懸念」を伝えたことを明らかにした。
米側が中国のレーダー照射を明確に認めたのは、中国の照射問題をあいまいなまま終わらせれば、中国側が再び同じような事件を引き起こすとの危機感からだ。米国務省が直接説明を求めたにもかかわらず、中国外務省が事実関係を認めないことにも不信感を募らせており、米側の強い姿勢を示す必要があると判断した。
1月18日の日米外相会談で、クリントン国務長官(当時)が「日本の施政権を害そうとするいかなる一方的な行為にも反対する」と従来より踏み込んだ表現で中国側をけん制。報道官はケリー国務長官も「同様の立場だ」と強調した。
中国の照射問題に関して「同盟国である日本から説明を受けており、日米はこれまで起きたことについて緊密に連携を取りながら対応している」と指摘。中国側が火器管制レーダーを日本の「捏造(ねつぞう)」と主張していることを厳しく批判した。さらに「中国の照射は偶発的な事故リスクを増やし、地域の安定と平和、経済成長を損なう恐れがある」と訴えた。
中国によるレーダー照射は今回は日本が自制したため、偶発的な衝突は回避できた。国際的な常識では照射された側が応戦し、戦闘が起こっても不思議ではない状態だ。パネッタ国防長官は日米韓3カ国の連携で、中国に対抗する考えを示している。