オゾン層破壊物質、未知の放出源から NASA発見
【ワシントン=共同】オゾン層を破壊するとしてモントリオール議定書で製造が禁止された四塩化炭素という化学物質が、現在も未知の放出源から大気中に出ている可能性があると、米航空宇宙局(NASA)の研究チームが20日発表した。
かつてはドライクリーニングの溶剤や消火剤として広く使われたが1996年以降に全廃となり、加盟国による2007~12年の排出量はゼロとされる。
だがチームが大気データを調べると、ピーク時の30%近い3万9千トンが毎年放出されていた。予期せぬ発見にチームは「何らかの工業生産過程で漏れ出るなど未知の放出源が存在する可能性がある」と指摘している。
四塩化炭素はクロロホルムに似たにおいがあり、大気中での寿命は26年。地球を取り巻いて人体に有害な紫外線をさえぎるオゾン層を破壊する物質として、議定書が規制対象とする特定フロンに指定されている。
大気中の四塩化炭素は太陽光の作用などで分解し、毎年4%減少するとみられていたが、チームの推計では同1%と減少ペースが鈍くなっていた。