ソニーと任天堂に好機か…中国でゲーム機解禁の観測
(2013年1月28日 Forbes.com)
アジア発の大ニュースになるかもしれない。中国政府系の英字紙「チャイナ・デイリー(中国日報)」は中国政府が2000年に始まった家庭用の据え置き型ゲーム機の販売禁止の解除を検討している、と報じた。
中国の政府機関である文化部は、他の担当官庁やメーカーとの間で、解禁に向けた話し合いをしている。もともと、この法律はビデオゲームが心をゆがめかねないとして、その悪影響から中国の若者を守るために制定された。しかし、どうやら中国政府はこの方針は有益ではないと考えたか、あるいはただ単にゲーム機市場に対して再び門戸を開いたほうがいいと考えたのだろう。政府の禁止措置にもかかわらず、中国ではコンピューターゲームが大きく普及しており、ゲームはすべて危険だという考え方と実態が合わなくなっていることは念頭に入れておく必要がある。
家庭用ゲーム機はすでに中国の闇市場では何年もの間、入手が可能だった。闇市場は税金も関税もかからないということも、中国が禁止措置を解除したいと考えるもう一つの理由かもしれない。ゲーム機解禁という話が浮上しただけで、日本では任天堂とソニーの株価が上昇した。もし法律が実際に見直されれば、両社にとって大きな商機になるのは間違いない。しかし、本当に販売禁止措置を解くには、所管する7省庁のすべてが合意しなければならず、匿名の文化部関係者によれば、道のりは長いかもしれないという。
実際に解禁されれば、世界で最も人口が多く、合法的なゲーム機を何年も待ち望んできた中国にゲーム関連企業が殺到し、ゴールドラッシュの様相を呈するだろう。ただし、多くの低所得層の中国人は新しいゲーム機を買うことができないため、安いゲーム機が手に入る闇市場も根強く客を集めるだろう。
もし中国でゲーム機が解禁されると、次世代ゲーム機をめぐる力学は根底から変化しそうだ。ソニーと任天堂は中国で大きく売り上げを伸ばしそうだ。一方で、マイクロソフトの「Xbox」は同じような盛況には至らないかもしれない。アジアでは、ソニーの「プレイステーション(PS)」と任天堂のゲーム機がXboxよりも一貫してはるかに人気があり、中国政府の方針転換で獅子の分け前を享受するのはこの2社とみられている。
例えば任天堂の「Wii(ウイー)」の販売台数が日本で1200万台、ソニーの「PS3」も700万台に上ったのに対し、マイクロソフトの「Xbox360s」は150万台にとどまった。中国でもマイクロソフトのシェアが大きく伸びるとは考えにくく、任天堂とソニーが中国でのゲーム機解禁を大歓迎するもう一つの理由となっている。
ソニーのゲーム部門の広報担当である福岡氏は「ソニーは常に中国をゲーム事業の極めて有望な市場と位置づけており、ビジネスの可能性について周到な研究と準備を進めてきた」とブルームバーグの電話取材に答えた。同氏は、ソニーが中国の規制機関と「建設的な対話を続けてきた」と述べる一方、詳細は明らかにしなかった。
公式の発表はまだ何も無いが、すでに述べた通り、任天堂とソニーの株価はゲーム機解禁との観測を材料にすでに上昇している。こうしたうわさが現実になれば、ゲーム機メーカーだけでなくゲーム業界全体に、さらに大きな影響を及ぼすことになるだろう。
by Paul Tassi, Contributor
(c) 2013 Forbes.com LLC All rights reserved